PROFINETは、1999年にPI(PROFIBUS & PROFINET International)が発表したEthernetをベースにした産業用イーサネットです。PROFINETはIEEE802.3に完全準拠し、全二重通信を行います。イーサネットで実現できる接続形態が活用できるので、ライン型、スター型、ツリー型、リング型のネットワークの構築が可能です。このため、機械や工場内のネットワークを柔軟に構築できる特長をもっています。また、PROFINET上のコントローラと各機器は1対1通信を行いますので、いずれかの機器が異常なデータを流してもネットワーク上の他の通信は継続できます。さらには、LLDPやSNMPを使って機器の状態を外部から監視したり、トポロジーを表示する事も可能です。
PROFINETの特徴
PROFINETは下記3種類の通信規格を管理することで、高速同期制御から汎用イーサネットとの共存を実現します。
- NT(Non Real-Time)
TCP/IPをベースにした通信で優先度が最も低いレベル。リアルタイム性が不要なパラメータの読み書きに使用されます。 - RT(Real-Time)
VLANの機能を使ってNTのデータと比較してRTのデータを優先して通信します。10ms程度のリアルタイムネットワークを構築することができます。 - IRT(Isochronous Real-Time )
RT以上のリアルタイム性を実現するためのプロトコルで、ジッタ1μs以下で同期する事ができます。
PROFINETの仕様
PROFINETの通信仕様は以下です。
項目 | 仕様 |
---|---|
伝送種類 | 100BASE-TX オプション:100BASE-Tなど |
伝送速度 | 100Mbps |
通信距離 | 100メートル以内 |
伝送ケーブル | 銅線、光ファイバ、無線 |
トポロジ | ライン、リング、スター、ツリー |
最大接続台数 | 制限なし |
コンフォーマンスクラスAの基本機能
PROFINETのコンフォーマンスクラスAの基本機能には以下が含まれます。
- リアルタイム入出力データ交換
- 非同期データ通信
- 機器からのアラーム送出モデル
- 3つのアラームレベルを伴うネットワークエラー
- メンテナンス要求
- 緊急メンテナンス要求
- 診断
コンフォーマンスクラスBのネットワーク診断と管理
コンフォーマンスクラスBではさらにネットワークの診断機能とトポロジー検出機能が追加されます。PROFINETはSNMP(Simple Network Management Protocol)を使用しており、MIB2(Management Information Base 2)とLLDP-EXT MIB(Lower Link Discovery Protocol-MIB)の一部がデバイスに統合されます。
PROFINETの実現方法
PROFINETの実現方法は2つあります。
- 汎用マイコンを使った実現方法
- 専用LSIを使った実現方法
1.汎用マイコンを使った実現方法
ルネサス社製 RX72Mを使用した方法です。JSLテクノロジー社にて、RX72M向けにTMG社(旧Molex社)製スタックのSDKを提供しています。 認証試験も取得済みです。
取得済み認証
2018-09-25_PN-test
取得環境は以下になります。
- デバイススタック :TMG社製「TMG PROFINET Device Stack」
- TCP/IPスタック :eForce社製「μNet3/Professional」
- RTOS :eForce社製「μC3/Standard」
- プロセッサ :ルネサス社製「RX72M」
- 統合開発環境 :ルネサス社製「e2studio」
PROFINETのサポートベンダ
サポートベンダ | 提供サービス |
---|---|
TMG社 | ライセンス |
JSLテクノロジー株式会社 | SW開発、技術サポート |
2.専用LSIを使った実現方法
リアルタイムOSアクセラレータ(HW-RTOS)を搭載したルネサス社のR-IN32を使用した方法です。TCP/IPスタックはルネサス社提供の無償サンプルが利用可能ですが、下記いずれかを必要とされる場合はイー・フォース社のμNet3/Professionalを使用する事もできます。
- ソースコード
- 動作保証
- 技術サポート
- カスタマイズ対応
PROFINETのサポートベンダ
TMG社製スタックの場合 | 提供サービス |
---|---|
TMG社 | ライセンス |
JSLテクノロジー株式会社 | SW開発、技術サポート |
Softing社製スタックの場合 | 提供サービス |
---|---|
株式会社シェルパ | ライセンス、SW開発、技術サポート |
PROFINETとμC3を組み合わせてできること
特にTMG社のPROFINETスタックとμC3/μNet3の組合せで、認証試験を取得していますので、最終製品での認証取得負荷を大幅に軽減する事が可能です。
また、JSLテクノロジー社から下記をワンパッケージにした商品「JS-PROFINET Device SDK on µNet3」がリリースされています。
SW | 詳細 |
---|---|
PROFINETのSDK(自社で実装/カスタムの場合は不要) |
|
TCP/IPスタック | µNet3-Professionalのライセンスや技術サポート |
RTOS | µC3のライセンスや技術サポート |
こちらをご利用頂く事により、各製品の契約窓口やサポート窓口をJSLテクノロジー社に一本化する事ができ、個別で購入するよりコストを抑える事ができます。
さらにSDKになっているので、直ぐにPROFINETの評価を行うことができます。要求仕様に対する必要なCPU性能やメモリ容量など、開発に必要な項目を短期間で確認する事ができ、スムーズに製品開発のスタートを切る事ができます。
資料
詳細をご希望の方は、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてください。
ご不明な点がございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
- SDKの入手方法を教えて下さい
- 詳しい話を聞かせて下さい
- サポートベンダを紹介して下さい
- μC3が未対応のプロセッサの場合、ポーティングはお願いできますか?
など