EtherNet/IPは、Rockwellが開発した産業用イーサネット・プロトコルです。EtherCATがMAC層のプロトコルなのに対して、EtherNet/IPはTCP/IP上にあるアプリケーション層のプロトコルです。DeviceNetと同様にODVAにより管理されており、PLCやFA/PCなどのコントローラレベルのネットワーク、センサや温度調節器等のデバイスレベルのネットワークのどちらにも対応でき、汎用イーサネットと混在して使用できます。
EtherNet/IPの特徴
EtherNet/IPは、CIP(Common Industrial Protocol)制御用通信プロトコルを標準イーサネット上のアプリケーション層で実行する、オープンでグローバルな産業用イーサネットです。CIPはDeviceNet、ControlNet、CompoNet等でも使用される通信プロトコルです。EtherNet/IPはWell-knownポートを使用して通信ができます。このため、QoS(Quality of Service)機能に対応したイーサネットスイッチを使用することで、EtherNet/IP通信のみを優先して高速化する事ができます。
イーサネットスイッチに到達した順序に関わらず、EtherNet/IPのパケットが優先して通信される機能。
また、アプリケーション層では、CIP Safety、CIP Sync、CIP Motion等を実装しており、1本のネットワークで全ての制御通信をサポートできます。
EtherNet/IPの仕様
EtherNet/IPの通信仕様は以下です。
項目 | 仕様 |
---|---|
伝送種類 | 10BASE-T/100BASE-TX |
伝送速度 | 10/100Mbps |
通信距離 | ノード間距離 100メートル以内 |
伝送ケーブル | STPケーブル カテゴリ5/5e |
トポロジ | スター、ライン、ツリー |
最大接続台数 | 制限なし |
EtherNet/IPの実現方法
EtherNet/IPの実現方法は2つあります。
- 汎用マイコンを使った実現方法
- 専用LSIを使った実現方法
1.汎用マイコンを使った実現方法
ルネサス社製 RX72MをベースにμC3/StandardとμNet3/Professionalを使用した方法です。
JSLテクノロジー社にて、RX72M向けにTMG社(旧Molex社)製スタックのSDKを提供しています。認証試験も取得済みです。
取得済み認証
CT16認証試験
取得環境は以下になります。
- アダプタスタック :TMG社製「TMG EtherNet/IP Adapter Stack」
- TCP/IPスタック :eForce社製「μNet3/Professional」
- RTOS :eForce社製「μC3/Standard」
- プロセッサ :ルネサス社製「RX72M」
- 統合開発環境 :ルネサス社製「e2studio」
EtherNet/IPのサポートベンダ
サポートベンダ | 提供サービス |
---|---|
TMG社 | ライセンス |
JSLテクノロジー株式会社 | SW開発、技術サポート |
2.専用LSIを使った実現方法
リアルタイムOSアクセラレータ(HW-RTOS)を搭載したルネサス社のR-IN32を使用した方法です。TCP/IPスタックはルネサス社提供の無償サンプルが利用可能ですが、下記いずれかを必要とする場合はμNet3/Professionalを使用する事ができます。
- ソースコード
- 動作保証
- 技術サポート
- カスタマイズ対応
EtherNet/IPのサポートベンダ
TMG社製スタックの場合 | 提供サービス |
---|---|
TMG社 | ライセンス |
JSLテクノロジー株式会社 | SW開発、技術サポート |
Softing社製スタックの場合 | 提供サービス |
---|---|
株式会社シェルパ | ライセンス、SW開発、技術サポート |
EtherNet/IPとμC3を組み合わせてできること
特にTMG社のEtherNet/IPスタックとμC3/μNet3の組合せで、認証試験を取得していますので、最終製品での認証取得負荷を大幅に軽減する事が可能です。
また、JSLテクノロジー社から下記をワンパッケージにした商品「JS-EtherNet/IP Adapter SDK on µNet3」がリリースされています。
SW | 詳細 |
---|---|
EtherNet/IPのSDK(自社で実装/カスタムの場合は不要) |
|
TCP/IPスタック | µNet3-Professionalのライセンスや技術サポート |
RTOS | µC3のライセンスや技術サポート |
こちらをご利用頂く事により、各製品の契約窓口やサポート窓口をJSLテクノロジー社に一本化する事ができ、個別で購入するよりコストを抑える事ができます。
さらにSDKになっているので、直ぐにEtherNet/IPの評価を行うことができます。要求仕様に対する必要なCPU性能やメモリ容量など、開発に必要な項目を短期間で確認する事ができ、スムーズに製品開発のスタートを切る事ができます。
資料
詳細をご希望の方は、下記よりプロダクトガイドをダウンロードしてください。
ご不明な点がございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。
- SDKの入手方法を教えて下さい
- 詳しい話を聞かせて下さい
- サポートベンダを紹介して下さい
- μC3が未対応のプロセッサの場合、ポーティングはお願いできますか?
など