代表取締役 與曽井 陽一

1971(昭和46)年生まれ。高校卒業後、情報システム機器・計測分析機器等のソフトウェア会社に入社して組み込み系、汎用機系やUNIXについて実践を通して学ぶ。その後、外資系RTOSベンダーや組み込みボードベンダーで活躍してから独立、フリーランスエンジニアとなって頭角を現した。クライアントの設立する会社に役員として参加してビジネススキルを磨き、2006(平成18)年にイー・フォース株式会社を創業した。

組み込みソフトウェアの開発には、どのような経緯で携わるようになったのですか?

もともとは中学生のころからコンピュータが好きだったのですが、当時、それが学べる学校が少なかったので、コンピュータのことはほとんど部活動や独学で学びました。本格的に学びはじめたのは卒業して会社に入ってからです。UNIXや汎用機のプログラムがはじまりでしたね。

しばらくしてOS/2やWindowsのソフトウェアの開発もするようになりました。同時にさまざまな制御システムなど、組み込みソフトウェアの開発にも取り組むようになったんです。

ちょうどそのころ、アメリカで売られていたリアルタイムOS(RTOS)の国内販売がはじまり、在籍していた会社が関連する仕事を請け負うことになり、私もそこからRTOSの開発に関わるようになりました。そこからRTOSメーカーのFAEを経て、ボードを作っているベンダーに移籍して組み込みソフトウェアの開発をしてきました。

※FAE = Field Application Engineer

会社設立の経緯について教えてください

フリーランスのエンジニアとして、オープン系ソフトウェアの開発もしていましたが、組み込み開発をメイン業務にするようになったころ、当時のクライアントから「一緒にやらない?」と誘われて、役員としてリアルタイムOS専業メーカーに参加することになりました。

その後、独立しましたが「できることからやろう」とスタートしていますので、志が高かったとか「なにがやりたい」ということはありませんでした(苦笑)ただ、自社製品へのこだわりが強く、受託開発中心の会社ではなくパッケージビジネスをしたいという思いは強かったです。当時はLinuxやオープンソースが台頭し始めた頃でしたが、それとは対極のプロプライエタリのITRON仕様のRTOSでのビジネスをすることにしました。

基本的に人に使われるのが苦手なタイプですので、代表になりました。(笑)
毎年、「去年とはちがう今年」というテーマを考えながらやって、自然体で長く続けることを心がけています。今後、クライアントが作った画期的な製品に当社のソフトウェアが使われているといった場面を増やしていきたいですね。

長年事業を続けてきた秘訣やポリシーはありますか?

当社では、クライアントから言われたことに、その場で「No」と言わないようにしています。基本的になんでも聞いてくるポリシーです。まず話を聞いて、100%はできないとしても、70%とかお互いの意見が一致するところまでちゃんと話し合って仕事を進めるようにしています。それがクライアントに評価頂いているポイントにもなっています。

(笑)最近はみんな理解してくれるようになり、「No」とは言わずにはじめに考えることが自然にできるようになりました。加えて、「なんかないの?」と常に新しいことを考えるようにしています。

初めてのことは誰でも苦手なものなので、周囲に「失敗してもいいからやろう!」といって取り組んでいます。お客様から頼まれた事には極力、なんでも応えられるようにしていきたいですね。ただ、理不尽な要求にはキッパリと「No」と言いますよ(笑)それが独立系のメーカーの強みでもあります。

趣味はなんですか?

主に山登りと写真ですね。40代になってから、走ったり、自転車に乗ったりと運動ばかりしています。でも山が一番好きですね。今までは軽いトレッキングばかりしていたんですが、今年初めて北アルプスに登りました。アルプスにいくと気持ちが変わりますね。「山ってこんなに凄いんだ!」という想いがわいてきました。

実は今回初めて山小屋に泊まったんです。山にいると色々な制約があって、逆にそれが非日常的な体験ができて楽しいです。山にいるとスマホが使えなかったりするので、情報を得るためには他の登山者とのコミュニケーションも必要だったりします。風呂にも入れないので、少々細かいことも気にならなくなります。日常でも少し我慢強くなるかなと…(笑)。

シーズン中は月一回くらいのペースでカメラを持って登っています。最近はキャンプにも参加していますし、急にアウトドア派になりました。社内のイベントで高尾山に行って、外で皆でワイワイするのがおもしろいと思ったのがきっかけかもしれないです。

「座右の銘」はありますか?

『頑張らなくていいからさ、具体的に動くことだね」

相田みつをの言葉です。深く考えすぎて、やる/やらないを決めるよりも、まずやってみようということですね。仕事をはじめた頃から意識していました。

初めてやることでも、躊躇なくやるようにしています。難しいこととか初めてのことは、やはり心理的にブレーキがかかるところがありますが、そこは考えずにやってみて、ダメだったら止めてしまうことを一貫してきました。

ですから、会社内でも判断に時間はかけることはほとんどないですね。社員からすると、何でもかんでもやらされてしまうことがあるとは思いますが…(苦笑)

当社では、他ではあまりできない経験ができると思います。興味さえあれば、色々なことができる環境を整えていますので、様々なことにトライしたい方には向いていると思います。興味がある人はぜひお会いしましょう。

※このインタビューは2018年に行われました